STEAM良作レビュー『Last Day of June』死の運命を変えるんだ! 良物語のタイムリープ(隣人操作&探索型)アドベンチャー

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良物語のタイムリープ探索アドベンチャー『Last Day of June』 
死の運命から彼女を救うため、謎の力で「隣人達の」過去を変えていく
ミステリアスで映画的な雰囲気のゲーム。レビューを兼ねてご紹介します。
※注意※ 直接描写はありませんが、自動車事故にまつわる物語のためご注意ください。


Last Day of June ゲーム特徴紹介&レビュー

非常に好評、定価1980円、開発 Ovosonico、日本語対応  ※必要スペックやや高め


ミステリアスな特殊タイムリープ・アドベンチャー
「愛と喪失」をテーマにした映画のような物語。
避けられない事故により、最愛の女性を亡くしてしまう主人公。
失意の中にある夜、彼女が遺した絵画たちが突如輝きを放つ!

そして描かれた隣人の「過去に入り込む」不思議な体験をする。
原因を回避すれば… もしかしたら過去を変えられるかもしれない……
主人公は決意する。彼女を救うため「あの日をやり直す」ことを!
果たして死の運命から逃れる事ができるのか…?
そして…この謎の力の正体とは……!?


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隣人たちの過去を変えて…「死」へと収束する運命に立ち向かう!
『シュタインズゲート』や『バタフライエフェクト』のようなまさにデスパズル。
隣人の過去を変えれば、ほかの人物に影響がおよぶ事もあるため
一度改変した過去にも戻り、さらに行動修正していくのだ。


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ゲームシステムは三人称視点のご近所・探索型ADV
事故の原因となる行動をどう回避するか探っていく。
隣人たちそれぞれに独自の目的やできる事が異なり、
子供しか通れない道や、ある人物しか開けられない扉もある。

行った行動は、ほかの隣人の操作時にも反映されていく。
それぞれ探索範囲を広がっていき、新たな打開策が見えてくるのだ。


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運命に関わる重要行動だけではなく、収集要素もある。
各キャラクターには、それぞれの想い出やドラマがあり
彼らのプレイ時や、収集要素から垣間見ることができる。



Last Day of June 気になった点
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夜の探索パートについて
とても薄暗いため、どこに進めるのかマップが見づらい。
また、開けた扉が閉まって戻れなくなる進行不能バグが一度発生。
ゲーム再起動すると戻れたため、影響はなかったが注意したい。

グラフィック設定関連について。
本作は画質設定項目がほぼないため、低スペックPCでは注意したい。
解像度次第で負荷を落とせるが、フルスクリーンかウィンドウのみ。
ウィンドウ枠をマウスドラッグで拡大すれば好きなサイズで遊べるが
そのままではマウスがウィンドウ外に出てしまう。一度ゲーム再起動しよう。


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イベントは飛ばせないため、同じシーンを何度も見る事がある。
何度も繰り返すシーンは自動スキップ(ある程度)してくれるが
リトライ時には同じ悲劇を数十秒ほど見る必要がある。そう何度でも。
しかも他のウインドウを選択するとゲームも一時停止する親切設計だ。

また行動による結果も、試してみるまで分からない。
すぐリトライできる機能がないため、失敗行動を選んでしまうと
「一日を終える = 数十秒の悲劇シーン」 じわじわ心が疲弊していく。
後述するが あえてそういう仕様にしている ものと思われる。



Last Day of June レビューまとめ
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「映画のようなゲーム」といえば「ムービーゲー」を想像するが、
本作はそれとは違った「映画のような物語体験型ゲーム」である。

試行錯誤しながらのプレイながら、実はよく練られた一本道シナリオ。
彼らに共感しながら、物語に入り込んでいけるように設計されている。
そのためツライ場面でも何度も何度も体験する事になる。
主人公と一緒に、逃れがたい絶望と向き合っていくのだ。

ゲーム的には快適とは言いがたい。だがしかし!
クリアしてはじめて「面倒なプロセスに意味があった」と実感した。
もし快適にサクサクリトライできたり、楽々スキップできたなら、
軽い試行作業となり、初見シーン以外は飛ばしてしまうだろう。
そうなると 運命に必死に抗う困難さや苦悩感 が薄れてしまう。


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最後までプレイして良かったと思えた作品。
気軽ではないリトライ仕様に、中盤で一度積みかけたが
後半は一気に物語展開! 終盤の演出には正直鳥肌が立った。
好みは分かれそうだが、映画的で私は好きなシナリオである。

「謎のあるタイムリープ」という試行錯誤や解釈面での面白さと
「行動範囲を広げていく」探索ゲームらしい楽しさを軸に
印象的な演出や、ドラマチックな展開でまとめ上げている。

激しいアクションや、要素多いRPGなど遊べないほど疲れている時
映画を見るような気分で、のんびりプレイするのに向いている作品。
クリア 3~4時間と長くはないが力作! とても心に響く物語だった。


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絵画のようなグラフィックも雰囲気が良い
光の演出が綺麗。また被写界深度の調整も効果的、
どこかミニチュアのような幻想的な世界だった。
BGMもサントラが欲しくなるくらいエモーショナル。

フルボイスながら、何語でもないところも面白い。
「うぅん?」「わぁ♪」のような声とジェスチャーで感情表現。
独特の世界観を表現している、非常に印象的なゲーム。



🍸 JJ Voice

「タイムリープ」自体は定番で使い古された題材。
色々な映画をミックスしたような既視感もありましたが
美しく印象的なシーン演出や終盤展開に心を動かされ、
自分で頑張って辿り着いたからこそ、感慨深さや感動が。

ボリュームも丁度良く、長すぎない点も良かったです。
短編のため、定価1980円だと高く感じるかもしれません。
映画1800円に抵抗ない方であれば十分満足度はありますが、
セール最安値は1188円、待ってみるのも良いかもしれません。


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