『メトロ ラストライト』良作FPSレビュー。核戦争後の終末ロシアを描く、メトロ 2033 続編 [Metro Last Light/STEAM日本語版]

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良作FPS『メトロ ラストライト』レビューを兼ねてゲーム特徴をご紹介。
前作『メトロ 2033』の後日談。2034年、核戦争後の荒廃したロシア、
地下鉄道で生き残った人類や、凶暴なクリーチャーとの死闘が描かれる。


💡 Metro Last Light ゲーム特徴紹介&レビュー
Metro Last Light(メトロ ラストライト)

STEAMではリメイク版 Metro: Last Light Reduxのみ販売中。
プレイは コナミデジタルストア購入した日本語対応のSteam旧版(Metro Last Light JP)
2019年更新:残念ながらコナデジでも注文できなくなっていた。再販を期待したい。

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前作のある選択後、混迷する人類情勢に翻弄される、主人公の新たな物語。

主人公は引き続きアルチョム。今やレンジャーとして一目置かれているが、
幼き日の思い出せない大切な記憶や、前作最後の選択など、迷いを抱いている。
そんな中、ダークワンの発見情報を受け、狙撃手アンナと討伐任務へ向かうが…。
サバイバルやオカルト、映画のような起伏に富んだストーリー展開が待っている。

前作の「人類 vs ミュータント」から今作は「人類 vs 人類」の勢力争いが中心に。
賛否はあるが、物語自体は綺麗にまとまっており、私は悪くないと感じた。
むしろエンディングはちょっと泣けたくらいだ。今作も2種類分岐がある。
もちろん、ミュータントと戦うシーンも嫌というほど用意されているので安心。

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前作よりお洒落になったカーンをはじめ、ヒロインである女性アンナ、
新キャラ含む様々な仲間たちと、助け合いながら困難を乗り越えていく。
本作では、ほぼ一本道ながらも、自由探索できる一人旅も増えている。



 Metro Last Light 魅力はやはり世界観
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廃墟となった地上世界、廃材で築かれた地下街、終末世界を堪能できる。

前作に登場したある場所はすっかり様相を変え、新登場する街もより個性的。
かつての文明時代の名残りや、浸水路を利用して船文化を発展させた街、
盗賊一味の要塞となりトラップのある駅ほか様々。地上もより多彩になった。

住人たちは沢山の会話が用意され、世界で起きている事が垣間見える。
人と接する機会が多い分、セリフ量は前作より多い。小イベントもある。
なおセクシーイベントも強化!ちょっとドキドキしてしまった(笑)

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左:釣りをする父娘。切ない内容だが、無邪気な娘とのやり取りに和む。PAPA☆
右:ステルス中に遭遇した敵。そんな話聞いたら……もう戦えないじゃないか。

弾薬&道具屋。店のデザイン一つとっても街ごとに異なるこだわりようだ。
ちなみにメインNPC以外の住人たちの会話は、多くに字幕がないのが難点。
PC版には日本語ボイスがない。ロシア語訛りの英語は堪能できるが。



 Metro Last Light 戦闘はステルス向け、たまにアサルト
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前作よりステルス色が強くなったラストライト。
広いマップは地下・裏道などがあり、照明を破壊しても「また停電か」程度。
敵兵の巡回や行動パターンは、一般的なステルスゲーム仕様になっている。
ナイフ投げが一撃必殺で超優秀、暗視スコープ&サプレッサー付ライフルも優秀。
音でおびき寄せる事もできる。前作より遥かにステルスしやすくなった。

人間相手のアサルトプレイはやや微妙
『ゴーストリコン』『COD』辺りのシューターと比べると、銃撃戦は難易度低め。
敵AIの挙動は割りと単純、グレネードや包囲網などで追い込んでくる事もない。
角待ち戦法なら死体の山さえできる。隠れていると簡単に見失うステルス仕様。
なお、強制戦闘を除き、ステルスでもアサルトでも自由攻略できる。

ただしクリーチャー戦は手応えあり、大型ボスも新登場する
ザコでも素早い動きで追い込んでくる。特にラッシュイベントは手応え満点。
地雷や火炎弾など活用して、リロード時間など戦い方を考える必要がある。
また大きめのボス格も複数登場し、弱点探しなど工夫があって楽しい。
QTEも稀にあるが、固定キー連打で簡単。一度も失敗せずクリアできた。

武器の無骨なデザイン、自由なアタッチメントもGOOD
アナログ感あふれる派手めの発砲音や、銃器の取り回し音響が頼もしく、
銃撃感もしっかりあり、リロード等のモーションも機敏でカッコいい。
ナイフ暗殺~銃火器まで、アルチョムは戦闘の達人に成長したようだ。
なお今作でも軍用弾薬が通貨。新武器も登場し、店で改造もできる。



 Metro Last Light その他の特徴
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収集要素「日記」集めは…恐怖との戦い
チャプター間で入る主人公アルチョムの語りも小説的でGOODだが、
数十箇所に落ちている日記を読む事で、ストーリーの細部が補完される。
ただ、前作より1人旅が多くなったため、暗闇の廃墟など相当怖くなっている。
「不気味な演出」が巧みで鳥肌が立ち逃げたくなる。心臓が強くないと厳しい。


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前作同様にマルチエンディング制(2種類)
カルマシステムにより、各所で善悪の行動を取っていくと結末が分岐する。
難点は、パッと分かる程度の善行動だけではトゥルーエンドに辿り着けない厳しさ。
多少は善悪ブレても大丈夫と思うが、中には「そんなん分かるかい!」な善悪点も。

私の場合、降伏する敵は見逃し、助けられる住人は助けたが、それ位では駄目だった。
強制戦闘以外では「不殺ステルス」や、敵以外の「物を奪わない」が基本なようだ。
「アイテムは全回収して、銃撃戦も楽しみたい!」FPSゲーマーにはちとツライ…

最初トゥルーエンドではなかったが、それでもちょっと泣けた。
ストーリーを追っていくとある意味で救いがある。大人の終局と言った印象。
後にどちらも観たけれど、それぞれいいエンディングだったと思う。



💡 Metro Last Light やや残念な点
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地下は異様に暗い場面が多い。ライト点灯でもホラーゲーム並み。
ステルスプレイで明かりを消していくと、何も見えなくなる場合も。
暗視ゴーグルや暗視スコープはあるが、中盤辺りまで手に入らない。

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画像は推奨の明るさ設定より少し上げた物。いっそ明るさMAXで丁度いい位だ。
ステルス場面とホラー場面は異様に暗くなる。それ以外はやや薄暗い程度。
こんな暗闇の中、壁に向かってボ~っと立っている兵士は違う意味で怖い。


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序盤以外の街では、銃購入時に試し撃ちできない。
本作はお金が貴重。改造を考えると、上位の銃は気軽に買えない。
街では銃を構える事さえできず、使い勝手を確認できないのが難点。
街を出るとイベントが進んで戻れなくなる。もちろんオートセーブ。
中盤辺りは良さげな銃で所持上限3丁埋まるため、気軽に買い替えにくい。



 メトロ ラストライト レビューまとめ
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前作ほど衝撃はないが総合的には面白い、シングルFPSアドベンチャー。
雰囲気やホラー部分の作り込みはより強化され、自由探索の機会も増えた。
人間戦はステルス色が濃くなったが、クリーチャー戦はより面白くなった。
今作でもジェットコースター的に盛り上がる場面も多々ある。

ストーリーは「前作を綺麗に着地させるための完結編」と言った印象。
勢力争いが表面立って描かれるが、根底にはアルチョムの心の成長譚。
大切な記憶、そして、あの選択への答えに辿り着くための旅路である。
前作以上の衝撃はないが、完結編として十分満足いく内容だった。

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雰囲気やゲーム性が合えば、総合的には楽しめる良作だが、
前作以上に怖さや閉塞感が強く、より好みの分かれる作品。先に前作プレイ推奨。



 JJ voice record 「アルチョーームッ!!」

『Fallout 4』などは「今日はどこ探検しよっかな~」とワクワクして起動するが、
本作は「そろそろ地下へ戻るか……使命の時間だ」とやや陰鬱な気分だった(笑)
だが、アルチョムの物語を見届けたい好奇心で、最後まで止められなかった。
没入感がとても高く、映画や海外連続ドラマを観る感覚にちょっと近い。
ますます最新作『Metro Exodus』が楽しみになってきた!


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